1.Salesforceの導入
Introducing Salesforce
オカフーズがsalesforceを導入したのは2017年5月で、ちょうどFISH活動(業務改善活動)のスタートと同時期でした。当時のオカフーズは「大人のプロ」でいう「大人軸(オカフーズの社員として理念方針に【共感】するというマインドを形成すること)」を整えるため、2011年から始めた環境整備で土台を日々コツコツと積み重ねており、その文化の浸透が徐々に進み始め、次のステージにステップアップする時期に来ていました。
導入前のオカフーズの営業・販売活動では、お客様とのコンタクト履歴の共有は担当者からの営業会議での発表が中心で、顧客情報もExcelベースで管理されており、例えば担当変更時には、本当に大切な情報が引き継がれない等の不具合も一部発生していました。
原料調達活動に関しても、マイクロソフト社のaccessで構築したオリジナルシステムを駆使して買付判断を行う等していたのですが、システムトラブルが発生した際のメンテナンスができないといった不安を抱えており、販売、調達、それぞれにデータ蓄積・見える化・分析・活用が進んでいないという課題感を持っていました。
そこで、特にCRM(営業支援ツール)を主眼に、ツールの選定を始めました。SFAの導入が決まってからは、開発容易性や当時の課題感等から、下記3つの柱でSFAの環境を最大限活用できるようにするという方向で、開発範囲を拡大しました。
Management contents
To make the most of the environment
sample
サンプル管理
quality
品質不具合管理
material
原料管理
COntents 01 : サンプル管理について
CONTENTS 01: About sample management
後述の品質不具合管理とサンプル管理は、先代である岡会長から「この二つができる会社は一流だ」と言われていたこともあり、何とか形にしたいという強い想いが岡社長にはありました。
サンプルのご依頼は、ユーザー様側から「オカフーズの商品が使ってみたい」と興味を示してくださる絶好のチャンスであり、その機会を活用しない手はありません。なぜオカフーズの商品を使ってくださるのか、どんな点が改良されたらもっと使いたいと思ってくださるのか、オカフーズの商品が具体的にどのようにお役に立てているのかをヒアリングしデータ蓄積・見える化・分析・活用、そしてその全体の管理をすることが、もっと我々の経営理念である「ステークホルダーの役に立つ」の具現化のために大切な要素であると考えています。
CONTENTS 02 : 品質不具合管理について
CONTENTS 02: About quality defect management
品質不具合対応は、お客様の窓口である営業部やお客様アシスト部をはじめ、購買本部、品質管理室と、社内でも多くの部署が横断的に関わる必要があります。迅速に対応するためには各部の協力・連携が欠かせません。以前は社内で専用の模造紙を掲示しており、手書きで各部署が進捗状況を記入しながら管理していましたが、外出先の営業担当者がリアルタイムで進捗状況を把握するには不十分でした。
同じデータをExcelにも転記し、仕入先様や協力工場へはメールやFAXなどで共有していましたが、毎回Excelでデータを集計・分析しなければならず、サンプル管理と同様に品質不具合管理もデータ蓄積・見える化・分析・活用を進めることで、お客様の対応レベルと協力工場との再発防止活動レベル、双方を高めたいと感じていました。
CONTENTS 03 : 原料管理について
CONTENTS 03: About raw material management
岡社長がもともと商品部の部長を務めていたご経験もあり、代表取締役社長就任後もほぼすべての魚種の原料調達を担当されていました。限られた時間の中での社長業と原料調達の両立は非常に厳しく、原料調達は誰かに引継ぎ、社長業に集中しなければならない、何とかこれまでの原料調達のノウハウ、スキルをデータ蓄積・見える化・分析・活用をすることで、勘や職人技ではない原料管理を後継できるようにしたいと考えられていました。
2.導入後のSFA活用状況
SFA utilization status after introduction
①~③はそれぞれの主管部署が中心となり、積極的に基盤を築いてくれました。 3年ほどが経って、日々発生する様々な情報をSFAに蓄積するという習慣は浸透し、過去データの振り返りや分析はできるようになっていました。
一方で、サンプル管理に関しては、日々お客様から依頼を受けるサンプルについて、ヒアリングし情報を蓄積する点は徹底できていましたが、それが真の課題やニーズを捉えるための情報なのか?という点ではまだまだ改善が必要でした。更に本当の意味で「ステークホルダーの役に立つ」ためには、たくさんのユーザー様の声を知る必要があり、今後はもっとそういったユーザー様との接点の件数を増やしていく必要がありますが、リソースにも限界があります。いかにデジタルを活用してユーザー様との接点を増やすかが課題であると感じていました。
また、原料管理に関しては、調達の状況や消化の進捗は見えるようになりましたが、調達した原料がどれくらいの損益になったかを一貫して「見える化」するところまでもう一歩活用を進めたいという思いがありました。
決して歩みが止まっているわけではないけれども思い描いていたレベルまで活用が至っていないのではないか、日々データ蓄積はしているけれどもそこから具体的に何かお役立ちのために活用できているのだろうか・・・そんなモヤモヤを抱えていました。
3.「TRAILBLAZER」、そして新環境構築へ
"TRAIL BLAZER" and to build a new environment
そんなとき、岡社長がsalesforceの創業者であるマークベニオフ氏の著書「TRAILBLAZER」を読み、「こんな想い(コアバリュー)を持った会社が提供しているサービスなのだから、本当はもっと突き抜けた活用ができるはず・・・!」と感じました。旧環境(※salesforceclassic)をベースにしつつも、圧倒的に突き抜けた活用を目指して新環境(※salsesforcelitning)を構築する活動が始まりました。
実際にプロジェクトを始める前に、まずはsalesforce様にオカフーズの企業理念や方針、文化、実際の販売活動等をご理解頂くことから始めました。そしてこれまでの活用状況や、どんな課題感を持っているのか、これからどんな風に活用したいかという「想い」も細かくお話させて頂きました。毎週3時間、1か月以上に渡り、岡社長自らsalesforce様とのディスカッションを重ね、新環境構築への準備を進めてきました。
その後、現在の新環境構築や活用のフォローをして頂いているthomas様をご紹介頂き、3社で実現したい未来像を共有・協議してきました。
thomas様との取り組みはこちら⇒https://www.okafoods.jp/blogs/useful/shinka48
実際にプロジェクトとしてキックオフしてから約半年後の2021年11月に、新環境への移行を実現しました。
4.48期のDX方針「SFAの徹底活用!」
DX policy for the 48th term "Thorough utilization of SFA!"
新しい環境へ移行後は、まずは画面の操作に慣れてもらうことや軽微な修正を進めてきましたが、ここからは、48期のDX方針でも掲げている通り「SFAの徹底活用」、いよいよこの環境のフル活用を全社で推進していきます。
新環境では特にユーザー様との接点や、その接点でヒアリングしたユーザー様のお困りごとやお悩みの具体的な内容を蓄積する場所の整備に力を入れました。どのようにお役に立ちたいかのゴールイメージから逆算して、どんなデータ項目を蓄積するかをプロットしています。
日々SFAへデータを蓄積することにより、実際に商品を使っていただいているユーザー様のお困りごとやお悩みを解決しお役に立つだけでなく、パートナー様である食品問屋様の販売活動のお役に立てる可能性をも秘めています。
また蓄積されたデータを高度分析できるようにするため、tableau(BIツール)も導入しています。
さらに、SFAは、スクラッチ型のシステムとは違い、クラウド上のサブスクリプションサービスなので、標準的に使える機能が年に2~3回ほどアップデートされ、ユーザーは最新のサービスを利用できるというメリットがあります。様々な外部システムやツールとの連携も可能なので、新しいサービスやツールの活用も積極的に取り入れ、サンプル管理を含むユーザー様との接点を、デジタルを活用して加速度的に増やしていきたいと考えています。 今後のオカフーズのSFA活用の更なるSHINKAに、ぜひご期待ください!